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水 温 変 動

「水温変化による漁場分類と特性」

   漠然とした経験ではなく、客観的な資料を基に、様々な気象変化に伴い自分の漁場がどの様に変化するのかを明確に知

  る必要がある!(弱点と長所) 気象変化による個々の漁場変化の特性を把握し、水温変化に由来すると思われる部分

  (高低の危険水温帯、急激な水温変化、貧酸素水塊の形成)の斃死を漁場特性と貝種特性によるマッチングで回避出来

  いかを考える​。

    従来の漁場分類の概念(真珠養殖)

      従来 内湾性漁場(波静かで餌も多く珠も捲く)

      近年 外洋性漁場(波は荒く餌も少なく珠も捲かないが斃死が少ない)

                                   夏の高水温や冬の低水温が問題視、越夏越冬の移動養殖が必要

1.「内湾性漁場」「外洋性漁場」以外に、分類出来ないか?(各漁場の水温変化には特性が無いのか?)

      深度別に水温変化を1時間毎の連続計測してみると漁場、深度毎に水温変化に特性が在ることが判る。

      変化に由来すると思われる要因毎に分析すると以下の内容で分類出来る。

  時期別 「気象」A-(水温と気温の差が大きく、気温の日較差の大きい時に以下の影響を受ける漁場)

      「気象」B-(水温と気温の差が大きく、気温の日較差の小さい時に以下の影響を受ける漁場)

      「気象」C-(水温と気温の差が小さく、気温の日較差の大きい時に以下の影響を受ける漁場)

      「気象」D-(水温と気温の差が小さく、気温の日較差の小さい時に以下の影響を受ける漁場)

  要因別 「日照」-(最高水温のピークが昼過ぎに1回)

      「潮の干満」-(潮の干満に由来し最高水温のピークが1日に2回)

      「降雨・積雪」-(局地・直接的に短期間で変化し易い)

      「潮流」-(黒潮の蛇行により、高比重の外海水接岸の影響を受ける)

      「風向」南型-(漁場が陸地と近くの北側が陸地で南側が開けていると南風で水温上昇)

      「風向」北型-(漁場が陸地と近くの南側が陸地で北側に開いていると北風で水温下降)

      「陸水」-(後背地の降雨・積雪により間接的に陸水・冷水の影響を長期間受ける)

  

 2.分類の実例:夏場の高水温(気温≧水温)時の好天時期を分類

      A.「深部まで日照影響型の水温変化をする漁場」開放系の漁場      開放日照型

      B.「垂下層まで日照優先で深部は潮流影響型の水温変化をする漁場」     湾口潮流型

      C.「表層のみ日照の影響型で垂下層以下は潮流影響型漁場」         湾奥干満型

      漁場型分類         表層日格差    垂下層日格差   深吊層日格差   漁場

      開放日照型  a-1.  大(日照)      大(日照)      大(日照)   島子 大江 浦田 

                           a-2.  大(日照)      大(日照)      小(日照)   野釜 岡丸

      湾口潮流型     b-1. 大(日照)      大(日照)      小(潮流)   阿漕 

      湾奥干満型     c-1.  大(日照)      小(干満)      大(干満)   皆割石

                           c-2.  小(日照)      大(干満)       大(干満)   若松

                           b-2.  大(日照)      小(日照)      小(干満)    田の下

 3.異常斃死時期の漁場分析の例

      時期=梅雨から夏にかけての水温上昇時 

      気象=高圧帯が長期間安定し梅雨前線の北上を妨げる 

      前兆=2週間位安定した晴天が続く

         表層の日較差が非常に大きくなる(常に水温より気温の方が高い)=躍層の出現

         水深毎の水温が明確となる=躍層の明確化

      要因=1日の水温差が3℃以上になと貝に対する負担が大きくなる

        =生息に不適な水温(生活水温を越えた27℃以上の警戒水温)に長期さらされる。

        =台風等の風雨が水温の急上昇を促す

 

      時期=夏から秋にかけての水温下降時 

      気象=高圧帯が長期間安定し秋雨前線の南下を妨げる 

      前兆=2週間位安定した晴天が続く

        =水温の低下が殆どない(大気温度と海水温度が同じ)

        =低層の日較差が小さくなる=躍層の出現

        =水深毎の水温が明確となる=躍層の明確化

      要因=海水の上下層の交換が殆ど行われない

        =台風等の風雨による水温の急低下が海水の上下層の交換を促す

      結果=貧酸素層が形成され易い

        =交換が無ければ底の貧酸素層が次第に厚くなり貝の垂下層に達し悪影響を及ぼす。

        =長期間交換が無い=風雨等での海水上下層の逆転現象があれば悪影響。

        =短期間交換が無い=風雨等での海水上下層の逆転現象があれば好影響

 

 4. 従来の常識と例外的な事実例 

     伊万里-阿漕

     従来、深吊り層においては表層に比べ、水温変化が少なく安定していると言われ、夏場に深吊

     りにて高水温をかわす等の考えが生まれていたが、漁場によっては表層よりも水温は高く、日

     格差も2℃以上もある漁場があることから、深吊りは逆効果を生む漁場があることが判った。

     島原-口之津、五島-大平

     夏場、比較的高水温の影響を受けない外洋性の漁場とされてきたが、実際には日較差が大きく高

     水温の影響を受けていた事が判った。

     水温下降時、九州南部から黒潮の蛇行によって黒潮が遠のくと、低水温の外海水の接岸で漁場水 

     温が急下昇する事が判った。

     冬場、比較的高水温の影響を受けない外洋性の漁場とされてきたが、九州南部に黒潮の蛇行が近

     づくと高水温の外海水の接岸で漁場水温が急上昇する事が判った。

     天草-島子

     日較差、月較差共に少なく安定している為、夏冬共に安定した漁場であると言われてきたが、10

     年間の平均値と年度別・月別水温を比較する事によって、年度変化は大きい漁場で年によっての

     差が大きい事が判った。

​調査例

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