
穿 孔 寄 生
穿孔寄生
「貝殻に穿孔する生物」 直接捕食しないが、殻体へ穿孔して寄生 ⇒ 弱体斃死の要因
寄生虫:(ポリキータ:穿孔性多毛類=ポリドラ)
閉殻筋(貝柱)部位への穿孔は、外套膜部位の様な修復機能(真珠質分泌)が無い為、急激に消耗し斃死
稚貝の沖出し漁場など養殖初期の「幼貝」期は殻厚が薄い為、穿孔の影響大
沖出し漁場の「適否」把握 ⇒ 重要(漁場特性:海底の底質・鉛直交換の有無・垂下層の浮遊幼生密度)
・ 漁場海水の鉛直交換実態の把握
底質が泥 ⇒ 海水の鉛直交換 ⇒ 微細な海底泥が浮泥として上昇する際に浮遊幼生も上昇 (遊泳能力低い)

ポリキータ

イワガキ 重症

アコヤガイ 穿孔痕

アコヤガイ 軽傷

ヒオウギ 穿孔痕

ヒオウギ 重症

タイラギ 穿孔痕

タイラギ 駆除 治癒痕
穿孔貝:イシマテ(穿孔性の二枚貝)
物理的穿孔を行う貝類ではなく、化学物質を分泌して真珠質の炭酸カルシウムなどを溶出し穿孔する貝類
イシマテの成長と共に穿孔は深くなる ⇒ 閉殻筋(貝柱)部位へ達すると斃死要因となる シロチョウガイ
稜柱層が物理的に剥離(磯焼けでウニが付着藻類と共に齧る)して露出した真珠層部分に穿孔寄生が多い

イシマテ 穿孔

露出した真珠質へ穿孔

磯焼けでウニの餌料不足

貝殻に付着した珪藻ごと齧る
センコウカイメン:(穿孔性のカイメン類)
化学物質を分泌して、稜柱層を溶解して穿孔しているが、真珠層には穿孔出来ていない(閉殻筋への影響は見られない)

センコウカイメン 外部

センコウカイメン 内部

赤点状の侵入痕群

真珠層で防御?
環境保全型の「殺傷駆除」技術
(薬剤を使用しない、濃塩水と淡水の浸透圧差のみを利用)
駆除可能な貝類
・マガキ・イワガキ・アサリ(完全に閉殻可能)
・アコヤ(浅海生息で比重変動に強い:低比重時には足糸穴付近から粘液を分泌して、低比重水の深入を防御)
駆除不可な貝類
・ヒオウギ・ホタテ
海底生息 ⇒ 環境変化に弱い ⇒ 自己防衛本能で変化に敏感 ⇒ 変化時は自から移動する事で生存
延べ縄式垂下で、自から移動出来ない環境下での養殖なので、 一次的な漁場移動も必要(避難漁場など)
・シロチョウ
幼貝時は足糸付着(流藻などに付着拡散)するが、重量増加すると海底に定着(付着足糸は退化消滅)
稜柱層が剥離(ウニ食害) ⇒ 真珠層が露出 ⇒ 穿孔被害大(穿孔カイメン・穿孔性二枚貝など)
・クロチョウ
幼貝~成貝 足糸で付着して生活 足糸穴に粘液分泌で防御する能力は無い
・タイラギ・アカガイ・トリガイ
海底基質に潜砂生息 ⇒ 環境変動時は深く潜砂して変化対応
※ 収容器ごと飽和塩水に浸漬、浸透圧差をもって、周辺環境を阻害する事無く、安全に殺傷する技術
真珠養殖において海洋環境に優しい「付着物対策」技術として定着、「専用処理屋台」など真珠業界で独自に発展

(真珠技術研究会 会報 47号 1964年 飽和食塩水によるポリキーターの駆除について 国立真珠研究所 大村支所 船越 将二 氏)
https://jp-pearl.com/wp-content/uploads/2017/12/047_03_02.pdf
種苗貝初期段階
捕食:ヒラムシ・サツマボラ(幼貝~成貝) 寄生虫:ポリキータ(成貝)
被食:マガキ・イワガキ(完全閉殻する貝類)の種苗貝


マガキ カルチ採苗器 淡水処理(淡水全換水orかけ流し 1時間)500L 30連×10本
被食:アコヤガイ・シロチョウガイ・クロチョウガイ(完全閉殻可能な貝類)幼貝~成貝


真珠貝採苗器 淡水処理(淡水全換水orかけ流し 0.5時間)2,000L 台形篭×40篭
・完全閉殻可能な貝類は、開口し軟体部が露出しなければ、急激な比重変化にも耐性がある(カキ類駆除技術へ応用)
・足糸付着期は足糸口からの「低比重水」の侵入に対しても、短時間であれば、自ら粘液を分泌する事で、防御対応
成貝2年貝段階



より大きな浸透圧差の作出(淡水 ➡ 濃塩水 ➡ 淡水)へ浸漬 短時間で駆除効果を高める
・ 処理中に貝が開口すると逆効果、事前の開口防止処置(夏場の冷水浸漬・振動など)が重要
・付着「藻類」も除去 ⇒「付着藻類」はフジツボなど付着基盤に選択性の有る生物の「付着防御」にも繋がる事に留意
・「寄生虫駆除」が「付着生物」フジツボ(キプリス幼生)の好む付着基盤の整備に繋がる ⇒ 事前の処理時期検討が重要
・プランクトンネットによるフジツボのキプリス幼生数の把握による作業時期判断が重要