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​斃 死 対 策

斃死の分類について

斃死における「原因」と「要因」について

※ 斃死を、単純な一因性ではなく、「原因」と「要因」に分けて考える必要がある

〇「自然減耗」と「異常斃死」について

 「自然減耗」は生物としての強弱分散により、劣等遺伝形質の種苗から自然淘汰としてなだらかに減耗する。

 「異常斃死」は以下の2点の比較要件で、減耗が一度に大量に減耗した数量状態に分かれる。 

      :「同一貝種」時系列(過去)の比較 過去の生残率に比べ斃死率が異常に高い

      :「周辺貝種」時系列(現在)での比較 周辺の生残率に比べ斃死率が異常に高い

〇「原因」- 斃死を直接引き起こす「理由」

 高  水  温:溶存酸素量の低下・心拍数の増加・呼吸活性の上昇・生殖期間の長期化などにより体力低下、大型貝から斃死

     :近年の高水温期間の長期化に起因する「環境対応力」の不足が要因 採苗要件で天然と人工で異なる

     天然貝」「遺伝形質の変化」(自然界における人工貝との自然交雑などで変化)

     「人工貝」「近交弱性」過度な選抜育種による種としての環境対応能力「幅」の狭小化 交配個体数の基本無視

         :「業績優先」タンク内での淘汰選抜(受精率・分割異常・成長異常)を軽視 販売時点の貝数を優先

 赤潮生物:ヘテロカプサなどの貝への毒性・ノクチルカなどによる海水中の溶存酸素量低下による「酸欠」で斃死

​ 食害生物:魚類:ナルトビエイ・クロダイ・ブダイ・

     :貝類:サツマボラ・

     :扁形動物:ヒラムシ

 穿孔生物:ポリキータ(穿孔性多毛類)の殻体への穿孔寄生による閉殻筋損傷

 酸素欠乏:貧酸素水塊の形成による大規模な「酸欠」による大量斃死

〇「要因」- 斃死に至る可能性のある複数の「要素」

 水温上昇:28℃を超えるとミドリイガイの大量斃死により、沈降有機物が過多となり、高水温に起因する溶存酸素量の不

      足から、酸素を必要とする好気性消化細菌の分解能力が低下、海底に硫化水素が発生、毒性で斃死

     ※ 漁場環境の変化:近年の高水温は「区画漁業免許」の設定時代に比べ、大きく変動している可能性が高い

 塩分低下:閉殻時間が長期化、呼吸・摂餌が困難になり、体力低下、衰弱時の開口による外水との浸透圧差により斃死

 付  着 物 :付着珪藻:高透明度による光達で異常繁殖→通水阻害+呼吸困難・酸素不足・餌料不足で夏場に斃死

     :脊索動物:貝口付近のマボヤやヨーロッパザラボヤなどの異常繁殖による通水阻害+呼吸困難

  異常気象:(高水温・低水温・低比重・貧酸素:垂下層に至る高水温による貧酸素水塊形成

  操作ミス:(密植・付着物による収容器の通水阻害・過度な洗浄作業)要:高水温に対応する作業変化

過去に取り組んだ斃死対策の紹介

〇 タイラギの斃死対策 (貧酸素水塊・低比重・立枯:基質への潜砂困難) 

【平成19年度先端技術を活用した農林水産研究高度化事業】 

  「大型二枚貝タイラギの環境浄化型養殖技術の開発」

 潜砂性タイラギの垂下養殖技術  基質への潜砂困難(立枯)  対策

   洋上浮体施設(竹筏・フロート筏)から底面付着器を使用した防汚収容器で垂下育成する事で、タイラギの安定

  生産成した。貧酸素水塊や低比重など環境変化の大きい海底から切り離し中層へ垂下する事で生存率を高める

  技術を開発した。付着物対策としては貝に無害なシリコン系防汚塗料による収容器への防汚加工する事で対応した。

   「立ち枯れ」と言われる貧酸素などによる海底からの飛び出し斃死への対応は、収容器の基質内底面付着器を配す

  る事で、タイラギ自体の潜砂能力(環境変化時には基質に深く潜砂する事で回避)を高め、高い生残率を確保出来

  る技術を開発した。

   ※成長に伴い潜砂の際に足糸が掴む粒度の大きい基質(サルボウなどの殻片など)が無い漁場で立ち枯れ多発。

 「環境変化」 :育成環境を海底から切り離し、中層垂下育成する事で対応

       ※気候変動に伴う貧酸素水塊や低比重などの環境変化に起因する大量斃死が多発

 「付着防御」垂下養殖における付着物対策として、貝に無害なシリコン系防汚塗料で防汚加工する事で対応。

​ 「潜砂不能」海底基質からの飛び出し斃死対策は、収容器の基質内底面付着器を配する事で対応。

​      :潜砂に必要な、足糸が掴む粒度の大きい基質(サルボウなどの殻片など)が無い漁場で立ち枯れ多発。

      ※タイラギ自体の潜砂能力(環境変化時には基質に深く潜砂する事で回避)を高め、高い生残率を確保

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関係知財

【 名 称 】 「タイラギを垂下養殖するための養殖用器具」特許番号第 5288546号

​【 概 要 】 垂下養殖において、タイラギを基質内に確実に潜砂させ、タイラギ殻体への付着物を防御し、成長させるた

                    めに使用するタイラギ専用のタイラギ養殖器具を提供する。基質を使用した防汚処理養殖用容器内にタイラ

                    ギ専用の足糸固定器を設置する。かかるタイラギ垂下養殖用器具を使用すれば、基質中の足糸固定器によ

     り、アンスラサイトなどの軽量基質を使用しても、砂や砂泥を使用しても、タイラギの基質上への飛出しを確

     実に防止することができ、タイラギ殻体へのフジツボなどの海洋生物の付着を防御しつつ養殖を行なうことが

     できる。

     ※知財化、特許権者のFRAと「特許実施許諾契約」を締結し商品化

関係知財

 【 名 称 】 「海洋生物の付着防御器具」特許第5521154号(P5521154)​

  【 概 要 】 食用貝であるタイラギの殻体表面に、フジツボ、イガイ、カサネカンザシや粘着ホヤ、複合ホヤ等の海洋性

                     生物が付着するのを確実に防御する方法及びそれに使用する防御器具を提供すること。

                     事前に防汚効果を持たせた通水性素材を貝の殻体に密着させて使用することで、

                        (1)付着時期にあるフジツボ浮遊幼生が付着基盤に付着する際の「好適付着流速」を阻害、

                        (2)付着基盤となる貝殻表面の微生物フィルム形成を阻害することにより、フジツボ、イガイ、カサネ

                                   カンザシ等の蛋白質由来の付着「嗜好」を阻害

                        (3)加えて「粗密な形状」から平滑性を好む粘着ホヤ、複合ホヤ等を防御する

     ※知財化、特許権者のFRAと「特許実施許諾契約」を締結し商品化

真珠養殖における斃死問題 斃死率(生残率)について

 「母貝養殖」:母貝(重量)で事業成立 目的:「大きな貝」を如何に効率良く(斃死なく)生産するか

      :功利優先で自然の生理メカニズムを軽視する傾向(採苗技術の進歩:陸上水槽内)外の育成漁場とのズレ

 「真珠産業」:真珠(重量・サイズ)で事業成立 目的:「大きな真珠」を如何に効率(斃死なく)良く生産するか

      :挿核施術後の斃死率増大 高水温ばかりではない使用母貝の弱体化(​抗ウイルス耐性を含む)

      :優良母貝  母貝生産段階で淘汰選別 核入れ後に減耗しない強い体質の貝で事業スタートは必須 

 稚貝:温暖化対応の高水温耐性:近交弱性による弊害(選抜過多による生存バンドの狭小と均一化=大量斃死)​

    :先天的要因→人工採苗におけるの系統(交配:採苗個体数・継代:系統保存)が確立・後天的要因を排除

     :早期採卵→大珠志向から大きな貝のニーズが増大→「早期採卵」傾向(冬場の採卵母貝の成熟漁場を開拓)

〇マガキ養殖における斃死問題

 採苗手段で異なる養殖技法

  ①「カルチベーション養殖」(裸吊)→ ホタテ貝殻に種苗貝を付着させて連結垂下育成

  ②「シングルシード養殖」  (網篭)→ 単離種苗を網篭に入れて連結垂下育成

 育成法で異なる「大量斃死」に繋がる直接原因

〇真珠養殖における斃死問題 夏季の高水温(中間育成)時の「適正養殖密度」と分殖時期について 

〇マガキ養殖における斃死問題 

  ①「カルチ養殖」ホタテ貝殻への付着密度やカルチ貝殻への付着藻類の増殖繁栄(台風などの風波による付着藻類など

   の剥離脱落が少ないためのカルチ周辺への通水阻害・海水の鉛直交換による浮泥が少ないために海水の透明度が上が

   り光達深度が高くなり垂下層への付着藻類が繁殖)に起因する通水阻害(摂餌困難・酸欠)

  ②「シングル養殖」水温上昇による収容器内部の溶存酸素量の低下と 貝の活性上昇に伴う収容器内部の酸欠(密殖)と

   海水の鉛直交換による浮泥が少ないために海水の透明度が上がり光達深度が高くなり垂下層への付着藻類が繁殖)に

   起因する通水阻害(摂餌困難・酸欠)

 それぞれの対処法

   ・藻類付着による通水阻害は収容器の網篭を防汚処理し通水を確保する事

   ・高水温時の溶存酸素量の減少に伴う酸欠に関しては、従来水温時より収容器内部の養殖密度を低く(一篭当たりの

    貝の入数)設定する事

工事中

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