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中 間 育 成

​マガキ・イワガキ

カキ類(イワガキ・マガキ)の中間育成時の省力化技術

〇 高密度養殖 管理の省力化技術 ​②脱塊作業を不要とする殻のキャップ形状化 

 防汚収容器で育成する事で、網地の付着物による流通阻害が無く、養殖器内での餌料環境が平均化する為、高密度飼育(上下重ねての飼育)が可能となる。防汚収容器で育成する事で、シングルシード種苗初期段階でキャップ状の殻形状を形成し、飼育篭の波浪などによる上下運動する際に、物理的に右殻が常に上を向く状態を形成する。常に上下の整合性を得る事で収容器内でのイワガキ同士の固着を防ぎ、脱塊作業を軽減可能とした。※左殻は固着したがり、右殻(稜柱層)は付着を防御する傾向が強い性質を活用し、防汚処理した網篭とキャップ状外殻の種苗を組み合わせる事で、特別の操作無しに、高密度飼育、形状均一化、身入り度の平均化を高い確率で達成出来る。

収容器内の貝同士の「集塊」対策+「食害」対策

防汚収容器+食害防止ネット+キャップ形状形成によるセパレート養殖方法

大規模   ​高密度飼育装置(FLUPCY)ヤンマー株式会社製

揚水・還流の水量コントロール制御容易・大量生産に最適な完成度の高いシステム

揚水・還流経路の説明

飼育カラム内のカキ種苗の動き

マガキシングルシード育成

​現場からの課題

 取水システム:水中ポンプによる強制アップウェリング:電気式 保守煩雑(漏電対策:配線複雑)

   ※ カラム底面(水深60㎝)からの集水なので、梅雨時期は降雨による比重低下の影響を受け易い

自作シングルシード マガキ種苗 高密度飼育装置(FLUPCY)

〇小規模 高密度育成用 簡易フラプシー(漁家経営規模でも導入可能な安価なシステム)

 ※ 水中ポンプのメンテナンス煩雑:ポンプ導入初期費用高額:流水量コントロール可変不可

自作 大型PE植木鉢 連結 簡易カラム

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自作 簡易フラプシー(大雨直後)

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種苗のポンプ吸い込み防止

​自作カラム 底面穴あけ加工

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水面より水中ポンプで強制集水

早期沖出し用 簡易カラム

自作 簡易カラム 側面​

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簡易フラプシー ヤンマー量産型

安価な市販角ザルにて自作

​改良(ハンドリング:安全性:低価格化:省力化)

〇小規模 高密度育成用 簡易フラプシー(漁家経営規模でも導入可能な安価なシステム)

 取水システム:水中曝気による強制アップウェリング:エアー式 保守簡便(配管のみ=安価に構築)

    ※ 大雨などの比重低下時は影響のない水深へ「密閉式カラム」ごと垂下する対処法を開発

    ※ 流水量確保の為、曝気通水管内に於ける「二点曝気:二次ブースター」法を開発、流水量確保

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市販の大型PE製植木鉢を改造し安価に自作

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種苗の出し入れの煩雑さを改善する為に小型コンテナ(100均角ザル+玉ねぎ袋)でセパレート

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曝気量の増減で海水流量の調整が可能で、高密度飼育にも対応可能

フラプシーの低比重対策(ヤンマー製 取水水深可変 曝気揚水量産型)

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ヤンマー スサール IMGP3138.JPG
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カキ類種苗の「早期沖出し」を可能とするシリコン防汚網篭による垂下(無動力:強制曝気無し)

​「底面補強」防汚沖出し網篭によるセパレート(キャップ形状形成)育成法

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 タイラギ 有鱗型(Atrina pectinata)

タイラギの潜砂行動を助長する中間育成技術(斃死対策)

干出漁場で梅雨時期の降雨による比重低下(タイラギは完全に閉殻できない為、特に浸透圧変化に弱い)に対応する為に、海底基質に潜砂する事で急激な環境変化に対応して生息している。(干出漁場においてはタイラギ生息域の潜砂し易い基質組成は重要)干出しない浅深漁場においても環境変化の大きい夏場(低溶存酸素)は潜砂している。海底土壌が潜砂困難で海底から露出するとフジツボなどの付着物やポリキータなどの寄生虫侵入により高い確率で斃死に繋がる。タイラギ自ら潜砂をする為に海底基質内ですっぽ抜けを防ぐアンカー効果を得る為に大きめの基質(サルボウ貝殻片など)に足糸で付着して高いアンカー効果を得て潜砂している。海底に流れがあり高比重の貝殻片などが露出した上に柔らかい基質が堆積している漁場には大型貝の生存が多くみられる。夏場に小型(殻長15㎝位)のタイラギの立枯れしている漁場で潜砂環境が整っている場所は潜砂して生存が見られる。貧酸素水塊が広範囲に形成されていても基質に深く潜砂する事で少数ではあるが生存する事が確認された。良好な潜砂環境を養殖器の中で人工的に作出する事(足糸付着板の設置)で海面からの垂下養殖においても生残を可能とする技術を開発した。

自然界での潜砂状況

自然界での潜砂状況

潜砂困難 立枯れ斃死

垂下養殖 底面付着器設置

周囲はウミヒバリガイのマット

抵抗の大きい貝殻などをトラップ

開閉により基質上に上昇

同じサイズの貝が集中

垂下養殖 立枯れ斃死

垂下養殖 フジツボ付着で開閉困難

足糸で基質を大量トラップ

ザルを通し足糸で基質をトラップ

〇 潜砂性タイラギの垂下養殖技術  ​貧酸素水塊 低比重 基質への潜砂困難(立枯)  対策

 

 ・斃死対策:海底から切り離し中層へ垂下する事で貧酸素水塊や低比重など環境変化に対応生存率を高める技術を開発。

 ・付着対策:貝に無害なシリコン系防汚塗料による収容器への防汚加工する事で対応。

 ・立枯対策:貧酸素などによる海底基質からの飛び出し斃死対策は、収容器の基質内底面付着器を配する事で対応。

      :タイラギ自体の潜砂能力(環境変化時には基質に深く潜砂する事で回避)を高め、高い生残率を確保出来る  

       技術を開発した。

 

 ※成長に伴い潜砂の際に足糸が掴む粒度の大きい基質(サルボウなどの殻片など)が無い漁場で立ち枯れ多発。

「底面付着器」設置で収容器に設置したアンスラサイト基質への安定した潜砂が可能となり、立枯れ斃死が大幅に減少

水深5m 垂下養殖風景

上面の表面積を二倍にしたザル蓋

左:付着器 無し  右:付着器 有り

底面付着器 有り 潜砂

防汚収容器 3ヵ月経過

特許概念図

人工採苗貝による量産タイラギ

トリカルネットに足糸付着

養殖タイラギの閉殻筋

水質環境変化の少ない洋上のフロート筏を用いた「基質養殖によるタイラギの量産」が可能となった。

タイラギ人工採苗種苗の「早期沖出し」手法の改良

浮遊幼生着底後、潜砂する迄の育成時に必要となる「餌料」培養(生産)能力=生産貝数が大きな課題

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浅いカラム内での給餌・カラム交換(底面メッシュ・残餌清掃)・柔らかい殻体のハンドリングが課題

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極小PEラッセル織メッシュをシリコン塗料で防汚して、通水性(浮遊プランクトン透過)を確保

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海水の鉛直交換時に発生する浮泥の沈降付着による「物理的」目詰まりが発生

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目合いの大きなメッシュ篭に交換して対処

この時期の殻体成長差が大きい(優良な摂餌環境を求めて脚による移動拡散行動が活発 ⇒ 密植防止が重要)

※ 基質に潜砂出来ない極小サイズ種苗貝の初期分散と潜砂後の種苗取扱いの簡便なハンドリングを目的

バラマキ方式 極小種苗(3㎜~5㎜)沖出し時の偏り防止用 簡易セパレーターと底面付着器

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角ザル+猫除けシート

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角ザル+猫除けシート+トリカルネット

角ザル+トリカル2.JPG

トリカルネット(底面付着器)

タイラギ種苗 猫除けシート セパレーター6493.JPG

​基質の偏り防止のセパレーター

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約10㎜の立ち上がりが厚さを保持

セパレーター IMG_6491.JPG

タイラギの潜砂を補助

自作 0.5㎜径の極小アンスラサイト

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​粉砕したアンスラサイトをフルイ選別

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ミキサーでアンスラサイトを粉砕

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​潜砂する前の種苗の摂餌環境を平均化する為に殻体を安定「直立」させる事が最優先

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足糸でトラップした余剰の基質(極小アンスラサイト)を振るい落とす

種苗を​バラ撒きする際に移動拡散しない為に個々に極小基質を足糸でトラップさせる(種苗同士の集塊阻止)

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面積当たり平均化して潜砂した種苗

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成長と共に基質表面に上昇(潜砂するスペースが無い・極小基質のアンカー効果喪失)

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バラ撒きする際、基質に付着する足糸の切断が有効(手差しする際の足糸内臓ごと逆剥けの防止 ⇒ 生残向上)

底面付着器  (海水比重低下時に浸透圧変化に対抗する為の潜砂行動を助長)

潜砂基質(アンスラサイト)と分離及び足糸切断の簡便化

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​篭底からの立上り空間確保

底面付着器(トリカルネット)

食害防止ネット(防汚網蓋)

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収容貝からの種苗貝の取り出しなどのハンドリングが容易(底面付着器ごと一括移動可能)

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足糸切23IMG_8730.JPG
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足糸切断時の方向性を維持、上から下へ切断する事が容易になり内臓の逆剥けを防止 ⇒ 生残率向上)

光達水深に垂下する場合、網蓋に付着藻類が優先付着し目詰まり(通水阻害)多発

​モノフィラメントネット(玉ねぎ袋)

入手し易さとコスト面に優れる(浮泥が乗ると付着藻類が付着し易い・大きめの目合必須)

PEトリカルネット

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海水の鉛直交換の発生する漁場の浮泥付着に弱い(垂下水深が光達水深の場合、珪藻付着による目詰まり発生)

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トリカルネット枠製作例

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※シリコン塗料による防汚処理(下塗・上塗と二液施工で作業煩雑)

PEラッセル織撚糸網(防風ネット)

量産に伴う省力化・低コスト化を目的とした収容器の製作​の一環(防汚網蓋)

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(株)西海養殖技研製 シリコン防汚網蓋 (4分目合い・2分目合)

※ シリコン塗料による防汚処理(含浸法:一液施工で作業性アップ)

含浸法に依る防汚施工のメカニズム

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※ 使用実例 マガキ種苗のクロダイによる食害防止防汚ネット (株)西海養殖技研製

​水産コンテナなどの自己潤滑性の有る樹脂素材への防汚施工のメカニズム

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タイラギ養殖(潜砂性の確保)の初期試験 容器内の基質攪拌防止

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​※ シリコン防汚不織布を用いたタイラギ種苗の中間育成における大量生産法の模索

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「海洋生物の付着防御用器具」特許第5521154号 国立研究開発法人 水産総合研究センター ※「特許実施許諾契約」を締結し商品化 販売中 2012~

トリガイ(Fulvia mutica)
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アコヤガイ (Pinctada fucata martensii)

〇養殖実態の把握による計画生産(工業製品生産に準じる数量把握とグレーディング)

​「あこや稚貝の中間育成技術」省力化  平均化  斃死対策

※ 初期段階からサイズを揃える事により、貝自らの移動拡散嗜好の助長に繋がり、成長効率が高くなる。

篭網防汚=網への付着防止​

成長差により大小混在

付着器を芯として付着拡散

大サイズの貝から移動拡散

貝自ら立体的に移動拡散

貝自らの移動拡散で平均化

貝同士の付着による変形防止

高密度飼育の弊害防止

〇中間育成時の付着物防御(付着器+収容器極細網目の防汚による好適付着流速コントロール)

フジツボ付着時の付着基盤選択性を活用した付着防御

 

「付着嗜好」付着生物の付着要因である「付着流速」と「基質表面」
 ①「付着流速」付着時期にあるフジツボ浮遊幼生が付着基盤に付着する際、好適付着流速が存在する。
 ②「基質表面」フジツボ、イガイ等の蛋白質由来の生物は付着基質表面の微生物フィルム形成が要件となる。
 ③「基質形状」
粘着ホヤ、複合ホヤ等は平滑性を好む付着嗜好が認められる。

「硬度=安定感」の異なる付着器と「防汚」収容器との組み合わせで、貝自らの移動拡散嗜好(成長に伴いより安定した 

    付着基盤を求め移動拡散)助長し、6月~9月の水温上昇期及び高水温時期に重なる分殖作業=ストレスとなる剥離採集

    作業を不要とする事で、懸案の高水温時の中間育成稚貝の斃死リスクを大きく軽減、加えて分殖作業の「省力化=挿核

    作業と重なる繁忙期」、同一サイズの稚貝が自ら移動拡散=揃う事により、サイズ混在に比べ、高い生産効率が期待出

    来る。

収容器の網篭防汚処理➡通水長期確保➡収容網篭内面への移動拡散困難➡付着器を芯とした種苗貝の強制付着➡成長に伴い付着器上で自ら移動拡散➡7~9月の高水温時期の分殖操作を無くす事による斃死軽減+省力化+平均化

選択性の有る付着生物の収容器内防汚メカニズム

防汚PEラッセル網篭+専用付着器

アコヤ稚貝 3ヵ月

マガキへの付着防御

稚貝表面に付着物無し

アカガイの付着防御

左:防汚 右:無し

フジツボが付着した稚貝

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