
養 殖 技 術
「真珠養殖で培った養殖技術」
※真珠養殖は他の食用二枚貝の養殖と異なり「母貝」生産段階と「真珠」生産段階の二段階で成立する養殖である。
第一段階として、真珠を作るための「挿核用母貝」が安定して量産出来なければならない。第二段階の「真珠生産」にお
いて、核代を含め、「挿核作業」時に一貝毎に高額な人件費がかかるため、一貝あたりの「製造原価」が一気に高額とな
る。挿核後に死なない真珠貝養殖技術が最重要で、挿核施術後の斃死率は真珠養殖事業の成否に関わる。
すなわち真珠産業は「種苗生産」から「真珠生産」まで連続した「養殖技術」を確立しなければ産業として成立しな
い。真珠の母貝生産技術は食用二枚貝生産における最終段階であり、出来て当り前の養殖技術を確立している。 真珠の
一貫メーカーでは、同一組織内において「種苗生産」から、最終目的である「真珠生産」までの成果が問われる。そのた
め、毎年、浜揚げ結果として「生物的」・「経済的」にも一対一の逃げ場のない評価が行われてきた。4ヵ所の「種苗生産
施設」で生産した種苗を、6ヵ所の「養殖施設」で養殖するという多岐にわたる複雑なフィールド環境下で、「系統作出」
「継代管理」「資材開発」「評価分析」手法の開発を含めた「養殖経営」に20年間従事した経験をもとに、独立起業、以降19
年間、その他の「有用二枚貝」養殖運営に有効な新しい養殖技術を開発、国内外で展開して来ました。

※産業としての養殖技術は各段階における限定的な「各論」ではなく、成果に繋がる総合的な「技術集積」である。
種苗生産段階
「使用する種苗の種類」と「養殖技術のレベル」
種苗生産の成果は、同一組織内では、逃げ場のない養殖成果として、客観的な評価を受ける
「天然種苗」 種別 ⇒年度ごとの変化は少ない為、普遍性が高いと言える
精度 ⇒バラツキが大きい=統一性が低く全滅に至り難い=育成技術が未熟でも養殖生産が可能
数量確保 ⇒ 種苗量の年変動が大きいため、計画生産性に難があり、大規模な計画生産には数が必要
「人工種苗」 種別 ⇒同一親貝であっても採苗技術者のレベルや採苗施設規模によって内容は大きく変化
精度 ⇒集約的=揃っている=半面、全滅に至り易い=ただし集約的な育成ノウハウが必須
大量生産性に優れ、計画的な数量確保には必須の技術
計画生産性・統一性に優れた半面、生産した貝種による「当たり外れ」が大きい 準備分析が重要
採卵母貝の選定・熟成漁場や採卵手法別の採卵ノウハウ・浮遊時の淘汰基準など多くの育成ノウハウが必要
「技術段階」 ⇒「研究」段階は研究事業の様な「生産可否」が目的
養殖生産体系の中の未解決問題の解決技術の開発 「ボトルネック」の解決技術
「実用」段階は生産業として成立する「経済性」が重要
生産体系の経済的向上に繋がる生産技術の開発 「業務改善」
「施設規模」 ⇒「生産量」および「精度・質」の関係
生産量を確保するレベルから、質的向上のための淘汰育成レベルへの移行には、淘汰分を含めた「余
剰」生産力が必要 ⇒大規模施設におけて余裕を持った採卵規模でのスタートが必須条件
養殖現場での「高い生残率」や「高い成長率」に繋がる精度の高い種苗生産は大規模施設が絶対有利
「業務改善」に繋がる「改善技術」は基本となる「種苗生産」の「精度・経済性の改善」が最優先、如何に精度の高い種苗を安価で生産するかが養殖生産の基本となる
人工採苗での生産種苗は「生産施設」「生産技術者」ごとに大きく異なる
※ 生産された「種苗」の養殖段階の有価性は種苗生産者の技術レベルと生産目的によって大きく異なる
自社販売種苗の養殖段階ごとに販売先へ貢献度合いを確認する業者は、成績向上を目的としている
反して、売って終了の業者も数多く存在し、大量斃死などについては販売先の責任とされている
特に三倍体などの新技術は種苗生産や養殖生産者の技術レベルや実施経験によって結果は大きく異なる
民間導入は地元生産に拘らず実際の養殖業務に寄与実績ある「全国」の種苗生産者の中から、自社生
産にマッチするベストなものを選択する(販売先は全国対象=高い商品競争力が必須 Best of best)
「技術的評価」⇒「種苗産業」三倍体・シングルシードは高価 養殖育成に関する高度な周辺ノウハウ構築が必要
生残や成長に明確な優位性 優良種苗の「生産技術」構築が重要
「種苗生産施設の運営形態」異なる「生産目標」と生産限界
①種苗生産「専業」販売会社 (種苗販売で事業成立)
種苗の出荷サイズは「タンク出し」と言われる極小サイズでの販売が多い
(中間飼育には餌料プランクトンが必要で、餌料生産能力=種苗生産能力となる)
また、生産種苗は年度別で形質変化が大きい(採卵に使用する採卵母貝の系統次第)
(自社の生産効率優先ではなく、販売先の養殖生産効率への寄与を重視すべき)
②養殖一貫メーカー(自社使用目的の種苗生産)
自社漁場とのマッチングを重視 高い普遍性を持った種苗
生産時に淘汰選別を行った種苗は次の養殖段階における「生残率・成長率」向上に寄与
養殖段階は中間育成済み大型種苗がハンドリングも容易で「生残・成長」ともに優れる
「系統管理」優良母貝の系統継代技術 ⇒ 自社管理育成下で評価・継代・保存・使用結果との相対評価
「養殖に有利な大型種苗生産」⇒「早期沖出し」「洋上中間育成」実施 ⇒ 養殖段階 で高生残・成長率
自社における養殖成果に繋がる事が最終目的で、種苗生産段階から最高品質の種苗生産を実施
③公的機関の生産種苗(放流目的が多く養殖実績が無い)
種苗の出荷サイズは「タンク出し」と言われる極小サイズでの販売が多い
(中間飼育には餌料プランクトンが必要で、餌料生産能力=種苗生産能力となる)
種苗の大量生産には限界がある
優良系統の採卵母貝入手確保は外部組織に依存、優良系統の継代生産は困難
種苗生産は配布もしくは放流で終了
「養殖業者の人工採苗貝の入手方法」
民間養殖生産者は危険分散の見地から、「段階的な試験導入」を経て,「種苗入手先は複数選択」する
「産業的評価」⇒「養殖産業」養殖生産に直結する優位性を有する養殖技術が高い評価
既存産業に対し、生産コストや生産効率に優位性、・新商品の開発などが評価
※ 研究事業の様な「生産可否」が目的ではなく、生産者の生業となりえる「経済性」が重要!
※試験研究の新技術開発も重要であるが、実業への「普及」反映が最も重要
生産側:高い「生産技術」と運営に直結する高い「採算性」が必須
消費側:新商品市場の「成立」「定着」には、その時代の市場背景も大きく影響
新規開発技術の産業としての成立には生産者側の「生産拡大」と連動した市場の「需要拡大」が必須
「養殖産業の課題」
①計画生産(生産実態の把握:粗放的養殖➡集約的養殖:生産量および品質のコントロールと表示基準の確立)
②技術開発(貝:選抜育種による優良品種作出・専用収容器および付着物対策と省力化)
③経費圧縮(種苗単価の低減:生産性向上:選抜付着と付着物防御効果を活用)
④市場開拓(新商品開発と国際流通を見据えた品質の国際規格化)
〇二枚貝(無給餌養殖)の現状
「マガキなど食用の有用二枚貝養殖」
・従来手法(天然採苗・粗放的なカルチ養殖)が、環境変化に起因する生産性低下への改善対応力に限界
・計画生産(人工採苗・集約的な網篭養殖)が、生産実態の把握を含め、環境変化に対する対応力が高くシフト中
「真珠・母貝養殖」
・天然採苗→近年の環境変化に起因する生産安定性の低下で事業存続が限界
・人工採苗→環境変化に対する対応力が高くシフト中
網篭養殖→生産実態の正確な把握と、移動などによる環境急変への対応力が高い
(食用二枚貝)消費・流通サイドから養殖業に求められる供給体制




「産地の生産者と連携した、新しいサプライチェーン構築」










実証事業例の紹介
(株)西海養殖技研、広島県、ヤンマー(株)、かなわ水産(株)でコンソーシアム
「先端農商工連携実用化研究事業」
課題名-「シングルシードカキ養殖法・流通の高度化によるかきオールジャパンブラ ンドの確立」
経済産業省 中国経産局 2012
〇 生産性向上(Productivity improvement)
※養殖生産の「目標」は、生産した生産物を如何に販売出来るかである。
・生産効率「量」⇒「生残率」・「製品率」(歩留)・「作業効率」
・販売効率「質」⇒「商品価値向上」
◎カキ養殖に於ける養殖機械(形状選別機・重量選別機)導入による生産性向上 (実例)
【 従 来 】
・出荷販売時
「重量選別」⇒「サイズ別」価格で販売(SS・S・M・L・LL)など出荷時の重量選別での判定
※販売単位が「重量」販売が基本 ⇒ 商品に統一性が無く明確な規格化が困難
「デメリット」「殻付き」⇒「販売品質」出荷販売時の不良品(身入り不足)の明確化困難(顧客が剥身時に判明)
「生産性」 規格外サイズは全て「廃棄」に繋がり、「生産効率」悪化に直結
「剥き身」⇒ 「省力化」 機械による大量選別が可能 ⇒ 剥身ロス(人件費)の低減 剥身作業効率向上
「生産性」 規格外サイズは全て「廃棄」に繋がり、「生産効率」悪化に直結
【 新 規 】
・養殖初期
「形状選別」⇒「大きさ」毎に選別(中間育成後)
※「シングルシード種苗」は「経歴」が同じなので大小選別の効果は大きい(成長差持続)
「選別育成」⇒「サイズ」毎に育成 ⇒ 生産規格毎「形状サイズ」の「平均化=統一化」が目的
※「種苗」段階からの「サイズ毎選別育成」は最適な養殖密度設定が容易
・出荷販売時
「重量選別」⇒「形状サイズ」規格は統一しているので、平均重量規格外は「身入り不良」と判別が可能
※「シングルシード種苗」は貝殻重量も平均化するので判定効果は品質に直結
「メリット」 「殻付き」
「販売品質」機械選別により、不良品(身入り不足)を数値で明確化、判定効率向上
「生産性」 規格外の不良品は剥身せずに「再生産」⇒ 出荷効率(生産性)の大幅改善
「剥き身」⇒「省力化」機械による大量選別が可能 ⇒剥身ロスの低減 作業効率向上
「 生産性」 規格外の不良品は剥身せずに「再生産」⇒ 出荷効率(生産性)の大幅改善
◎近年の養殖生産物の海外輸出に関し、明確な規格(サイズ・品質・安全性)化は必須の取引要件
〇 シングルシード 量産システム(形状・重量・グレーディングによる生物生産手法)

形状選別(形・サイズ)

形状・分級機

サイズ選別(大中小)

サイズ別に育成




重量選別
重量・分級機
同一サイズなので殻付きのまま身入り度を判別可能




エラー品を再生産する事が可能で高い生産効率向上に寄与する




※ 殻付き牡蠣(生貝)の生産において、従来困難であった品質(身入りの精度)確認を剥身せずに達成可能となった
〇 「カルチベーション」 + 裸吊り「数量」「質」共に不明な(粗放的)
ホタテ貝殻に付着した「連」の状態で竹(コンポーズ)筏から垂下する養殖方法。

人工採苗による種苗生産

竹筏から連で垂下

ホタテ付着板で連組

貝殻に付着したまま成長

養生

機械による脱塊

厚種 密植状態

手作業による脱塊
問題点:
・「量」養殖実数の把握が困難(養殖初期段階の食害・波浪時の脱落)➡ 計画生産が困難
・「質」付着状況に起因する外観および肉質の統一性が低い
・「手間」ホタテ板からの脱塊作業に手間がかかる
※ 出荷時まで養殖実態の把握が困難で計画生産性が低い
〇 「シングルシード」 + 防汚篭育成「数量」「質」共に明確な(集約的)
一粒ごとにセパレートした種苗段階から、収容器に入れ、垂下する養殖方法。

FLUPCY 育成

殻体成長を優先

左殻は下 右殻は上

カラム内で高密度飼育

セパレート養殖

形状の平均化

篭養殖でリンペン成長

高密度でも集塊しない

形状選別後定数化

初期のキャップ形状形成

上下の整合性で固着無し

供擦りを必要としない
問題点:
・牡蠣類は収容器の中で貝同士の付着により「集塊」を形成するので、物理的な成長阻害を起し易い
・種苗単価が高価な為、生産歩留まり次第では養殖初期段階から採算割れを起し易い
・収容器が必要な為、余分な資材償却経費が掛かる。
〇国際流通規格(International Distribution Standards)
「国際流通に適した規格表示可能なマガキ」
・急速冷凍:IQF(Individual Quick Frozen)ラインの構築
従来の緩慢冷凍(Giftbook Quick Freezing)に比べ、食品細胞の破壊を抑制、鮮度維持に有利
・異物混入検査(Contamination inspection)の前処理システム構築
※ 生産ライン上の異なるメーカーの検査機器の処理スピードの同調(シンクロ)と搬送システムの構築が重要

搬入システム

クリーンルーム化


IQFトンネルフリーザー

投入風景

異物検査装置

フリーザー制御盤

異物検査制御盤

セパレーター

シンクロ装置

搬送機

重量選別機メーカー




IQF重量選別機(供給装置付)150個/min×2乗 18,000個/h 選別(5ランク+規格外)DSG5500W-5R-P400-4K3-YAF07-HP


作動状況 動画


工事中
〇 新商品開発(New Product Development)
「一口岩牡蠣・夏牡蠣」(従来品と競合しない新商品を安価に生産供給し市場を拡大)
・岩牡蠣の既成概念からの脱却➡小型=養殖期間の短縮=生産性向上➡真牡蠣と同価格帯で市場参入
・既存の岩牡蠣(大型)との競合回避➡春で終了の真牡蠣の延長商品➡夏牡蠣食市場を新規形成
・シングルシードにより計画生産及び安定供給形態を構築➡商品流通の「量」が確立
・独自のグレーディング・キャップ形状により、均一性の高い養殖を実現➡商品流通の「質」が確立
(天然採苗による安価な自家生産のシングルシード種苗と養殖初期からのグレーディング)
・カキ礁➡劣化ホタテ貝殻で天然採苗➡防汚篭内で自ら剥離(省力化)➡疑似シングルシード
・食害防止網篭育成➡大小選別(機械篩)➡計画生産を実現
・生産物の現状把握=準工業製品的な計画生産性➡「量と質」の明確化➡計画流通の実現
・国際流通には価値観共有の為の明確なグレーディング規格構築が必須要件